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煎茶に使われる茶樹の品種
従来、実を結んだ種を畑に蒔き、そこから出た芽を育てていた茶樹。
しかしこの方法では、同じ茶園でも木によって摘採時期が遅れたり、品質も均一でないなど問題がありました。
そこで優れた性質の茶樹を選抜し、交配を重ねることで、優良で収量も見込める品種が作られました。
こうしてできた品種を「優良品種」と呼び、全国で栽培されている茶樹の約92%はこの「優良品種」です。
煎茶に用いられる品種で最も多いのは「やぶきた」です。
「やぶきた」は味が良く、比較的育てやすく、収量もあるため爆発的に広まりました。
しかし、摘採時期が集中することによる労働不足や煎茶が画一化され特徴が薄れたなどの弊害もあり、品種の開発が進められました。
現在、「優良品種」には60種以上あり、同じ煎茶でも品種によって違った持ち味が出ています。
地域ごとに風土に合った品種が栽培され、個性豊かなお茶が楽しめるようになったのです。
以下、品種ごとの特徴をまとめてみました。
●やぶきた
全国の約75%の茶園で栽培されており、緑茶品種の基準種とも言える品種です。
明治41年に静岡県の杉山彦三郎によって選抜された優良品種で、自宅の竹藪の北側で育種した苗だったことからこの名が付けられました。
収量があり、味が濃厚で爽やかな香気が特徴です。
普通蒸しの煎茶でも深蒸し煎茶でも、製法や産地を選ばず多くの人に好まれるバランスの良い煎茶ができることで人気を集めまています。
●ゆたかみどり
「あさつゆ」から分離して誕生した品種。
寒さに弱いため、鹿児島県など温暖な気候の地域に適した品種です。
やぶきたに次いで栽培面積が大きい品種となっていますが、それでも生産量は約5%にとどまっています。
やぶきたよりも早くできる早生種で、香りに特徴があります。
苦・渋みが強いため、少し遮光栽培し、深蒸し煎茶にすることで、渋みが穏やかで親しみやすい煎茶になります。
水色は鮮やかな濃い緑色の煎茶です。
●おくみどり
「やぶきた」と「静岡在来16号」を掛け合わせてできた品種で晩生で収量が多く見込める品種です。
名前の通り、深みのある緑色が特徴で、鹿児島県や京都を中心に近畿地方・九州各地で栽培されています。
爽やかな香味とほんのりとした甘さで渋味も少なめ、クセなくすっきり飲める煎茶です。
●あさつゆ
宇治の在来種から選抜されてできた品種で、天然玉露とも言われるほど甘みと柔らかい渋みをもちます。
特有の香りを持ち、青みがかった濃い緑色の水食は、見た目の美しさにも目を奪われます。
栽培管理が難しく、収量も少ないですが個性的で魅力ある煎茶が作られる品種です。
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