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煎茶の名産地 福岡「八女茶」

◎お煎茶コラム

福岡の銘茶「八女茶」



高級煎茶として名高い福岡県で生産される「八女茶」は、全国的に知られた言わばブランド煎茶です。

福岡県南部に広がる筑紫平野(八女地方)は、朝霧や川霧の発生しやすい土地で、なだらかな山の斜面にある茶畑をその霧が覆い、日光が適度に遮られることで、煎茶の旨み成分であるアミノ酸類(テアニン、グルタミン酸、アルギニン等)の生成を促進するという煎茶生産には非常に恵まれた気候風土であります。
古くからこの地方で作られる煎茶は天然の玉露茶として珍重され、高級煎茶として全国的にも有名です。

八女地方では一番茶の摘採が4月中旬に始まると5月上旬に最盛期を迎え、二番茶が6月中旬から7月上旬に摘採されます。
平野部では通常行われる7月下旬から8月上旬の三番茶は摘採せずに越冬し、茶の枝葉をよりしっかりしたものに育て上げます。
こうすることで、翌年に摘採される一番茶の品質が格段に上がり上質な煎茶が作られるのです。

このように生育された茶葉を深蒸しから普通蒸しにして仕上げていきます。
水色は澄んだ緑色、味は甘くてコクがあり旨みがしっかりと感じられるのが特徴で、煎茶であるにも関わらず玉露を思わせるかのような豊潤な味が味わえます。

天然玉露とも称される上級煎茶の産地八女ですが、実は八女地方は伝統本玉露の生産量で全国一位になるほどの玉露の名産地。
八女市を中心に星野村や黒木町などでは、昔ながらの稲わらを使用して被覆を行う伝統本玉露の生産が行われており、全国の生産量の約半分を占め、日本一となっています。

しかも、その玉露は全国茶品評会で10年連続で農林水産大臣賞と産地賞を獲得しています。
玉露と煎茶は茶樹の栽培方法から異なります。
玉露に使われる茶樹は覆いをして日光を遮断して栽培されるため、茶葉にはビタミンや養分、旨みの素となるアミノ酸の含有量が増加し、逆に渋みの素となるタンニン類の含有量が減少するため、まろやかで芳醇な甘みをもつようになります。
気候風土に恵まれた八女の玉露は味が濃厚で、甘味が強いのが特徴です。



八女茶の美味しい淹れ方



一度沸騰させたお湯を少し冷まし(80℃位、湯気が横ゆれする)、茶葉を心持ち多めに入れてください。
どの煎茶にも共通しますが、最後の一滴まで絞り切って淹れるのがポイントです。
濃厚で甘味が強く、苦味や渋味が少ないまろやかな煎茶を味わえます。


◎夏におすすめの冷煎茶

濃厚で甘みのある八女茶は冷煎茶にもぴったりです。
暑い季節にはぜひ冷煎茶としてもお召し上がりください。

急須に茶葉を心持ち多めに入れ、少し冷ましたお湯を注ぎ約2分程度(通常より長め)待ちます。
氷を入れたグラスに注ぎ、急冷すると色・香りが楽しめる煎茶オンザロックの出来上がりです。
氷が溶けることを踏まえて、濃く煎茶を入れるのが美味しく飲むコツです。


◎玉露の美味しい淹れ方

玉露は飲むというより舌で少量を味わいながら楽しむもの。

よりよく玉露の旨みをたしなむための淹れ方もご紹介します。

約10gの茶葉を急須に入れ、お湯を50度〜60度に冷ましてから急須に注ぎます。
3分程おいた後、茶碗に回し注ぎ、最後の一滴までお湯を絞り切って淹れます。


最後に



煎茶は同じ茶樹から作られていても、産地によって味が異なります。
高級煎茶の産地として名高い八女。
天然玉露とも称される八女の煎茶をぜひ一度味わってみてはいかがでしょうか。



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